民泊とは?

始めに「民泊」とは?

「民泊」とは、住宅(戸建て住宅やマンションなどの共同住宅等)の全部又は一部を活用して旅行者等に宿泊サービスを提供するととと言われています。
本来的には有料であるか無料であるかは関係ありませんが、新たなビジネスモデルとして日本でも大きな話題になっています。

「民泊」が拡大している背景は?

1.外国人観光客の増加
2018年の訪日客数は3119万人にのぼり、この5年間で約3倍に増加しました。
日本政府は東京オリンピックのある2020年には目標を4000万人としています。また、旅行消費額は4兆5064億円と過去最高を記録しました。
日本を訪れる外国人観光客の中で「民泊」を活用する割合は2017年7月~9月期ですでに15%を超えています(観光庁調べ)。

2.少子高齢化社会を背景とした空き家対策
日本の住宅は高度経済成長期を経て現在に至るまで大量に供給され続けてきました。
ところが、少子高齢化社会を迎え、住宅は飽和状態になり、また核家族化が進むことによって、空き家が増加しています。
地方の若者は東京などで住み、田舎に帰ってくることなく、実家は年寄り夫婦が住み続けるか、施設に入居することによりその住宅には住まず、そのまま放置されているという現状があります。

空き家の弊害としては、建物の老朽化による倒壊の心配、不審者の侵入、ごみの不法投棄、不審者の侵入等が考えられ、また空き家の手入れや修繕、取り壊しにも思わぬ費用が掛かります。

そこで、その空き家を「民泊」に利用して収益化する動きが盛んになってきました。

3.違法民泊の排除と法整備
以前から「民泊」の制度はありましたが、そこには旅館業法の許可が必要な旅館業に該当するにもかかわらず、無許可で実施されていたり、宿泊者による騒音やゴミ出しなどをめぐる近隣住民とのトラブル等の問題が指摘されていました。
また、感染症まん延防止等の公衆衛生の確保も急務となっていました。

それらの事情を踏まえ、旅館業法や住宅宿泊事業法に対する規則や条例などのルール作りが政府や自治体で慎重に進められ、一定のルールの下、健全な民泊サービスの普及を図るため、平成29年6月に住宅宿泊事業法が成立し、平成30年6月に施行されました。

4.民泊営業の種類と制度比較
平成30年6月の住宅宿泊事業法施行以降、日本国内で民泊をする場合は、
①旅館業法(昭和23年法律第138号)の「簡易宿所」の許可を取る
②国家戦略特区法(特区民泊)(平成25年法律第107号)の認定を得る
③住宅宿泊事業法の届出を行う

などの方法から選択をすることになります。

簡易宿所 特区民泊 住宅宿泊事業法
法令 旅館業法 各自治体条例 住宅宿泊事業法
所管省庁 厚生労働省 内閣府

(厚生労働省)

国土交通省
厚生労働省
観光庁
契約形態 宿泊契約 賃貸借契約 宿泊契約
申告方法 許可 認定 届出(家主居住型)
登録(家主非居住型)
営業日数 制限なし 制限なし 180日以内
宿泊日数 制限なし 2泊3日以上
(6泊7日以上の区域有)
制限なし
宿泊者名簿作成 あり あり あり
居室床面積 1人当たり3.3㎡以上
(10名未満)
25㎡以上 制限なし
住専地域での営業 不可 可能(自治体により制限あり) 可能
玄関帳場設置 条例による 不要 不要
最低床面積 33㎡(宿泊者10人未満の場合は3.3㎡/人) 25㎡以上 3.3㎡/人
非常用照明等の安全確保の措置義務 あり あり
(6泊7日以上の滞在期間の施設は不要)
あり
(家主同居で宿泊室の面積が小さい場合は不要)
消防用設置等の設備 あり あり あり
(家主同居で宿泊室の面積が小さい場合は不要)
近隣住民とのトラブル防止措置 不要 必要 必要
不在時の管理業者への委託 規定なし 規定なし 規定あり